AWS re:Invent2013参加レポート #7 AWSパートナーサミットに参加して
re:invent2013でAWSパートナーサミットに参加してきました。
「Reference Implementation Library」と「Test Drive」という耳にしたことの無いサービスのセッションに参加したのですが、AWSの方針の一端を窺うことが出来て興味深かったので、報告します。
セッションの概要はこちらでご覧いただけます。
Reference Implementation LibraryとTest Drive
どちらもAWSが提供しているサービスで、AWSパートナーがクライアントにより良いソリューションを提供できるようにするための仕組みです。
Reference Implementation Library
定番のプロダクトの導入に関するベストプラクティスを集めたものです。パートナー向けに提供されており、パートナーポータルからアクセスできます。
ライブラリの中には、Microsoft社やOracle社の製品をAWS上で利用する際のベストプラクティスをまとめたドキュメントやCloudFormationのサンプルテンプレートがあり、AWSパートナーはそれらを基に、クライアントの要望に添った設計をすることで、堅牢で信頼性の高いシステムを低いコストで構築することができるようになります。
セミナーではMicrosoft Share Point Serverを例として取り上げ、ドキュメントの内容やCloudFormationテンプレートの利用方法が説明されました。ネットワーク構成はもちろん、各インスタンスのタイプまで提案してあり、非常に充実したドキュメントでした。CloudFormationテンプレートも要素ごとにスタックを分割して提供されており、クライアントの要件に合わせて修正がしやすいように工夫されていました。
Test Drive
ベンダー提供の複雑なシステムを簡単にお試し利用できる仕組みです。
ベンダーがシステムの解説とCloudFormationテンプレートを用意してあり、利用者は好きなものを選んで手軽に試せる様になっています。車を買う前に試乗してみるのと同じように、システムを導入する前にとりあえず試してみるために仕組みのようです。こちらはAWSパートナー以外も利用できます。
先日、新しいTest Drive追加の発表があったので、こちらを見ていただければ分かりやすいかと思います。
【AWS発表】新しいAWS Test Driveを多数追加 - ビッグデータ、セキュリティ、Microsoftなど
セミナーではTest Driveにベンダー(AWSパートナーである必要がある)が自社製品を追加する方法が説明されました。製品紹介サイトを作るのと同じくらいの手間でTest Driveに登録できるみたいなのでこれからさらに利用できる製品が増えていくと思います。
感想
AWSは、パートナーがクライアントに少ないコストでより早くより良いソリューションを提供できるような効率的なエコシステムを作ろうとしているという印象を持ちました。
今回、2つの仕組みを紹介しましたが、どちらも目的はプロダクトの検証、導入時につきものの困難を減らし、クライアントが希望のシステムをより早く低コストで手に入れられるようにすることです。
プロダクトベンダーは製品の利用に関する知識と製品をすぐに利用できる材料を提供し(Test Drive)、アマゾンは製品をAWS上で利用するためのベストプラクティスと製品がすぐに利用できる環境を提供し(Test Drive, Reference Implementation Library)、パートナーSIerはクライアントの要件に合わせてプロダクトに更なる価値を追加する。
アマゾンとベンダー、パートナーがそれぞれの得意分野に注力することでクライアントにより大きな価値をより少ないコストで提供できるようになります。
アマゾンの顧客第一主義については本や記事でよく目にしますが、今回それを心で理解できたのは収穫でした。